吉田純子


吉田純子

吉田純子(よしだじゅんこ 1959年7月10日生)
 [殺人犯]


 福岡県生まれ。吉田の幼いとき、父親は自動車修理工場を経営していたが、商売はうまくいかず貧しかったため、母親が内職をしたり、家政婦として働いたりして家計を支えていた。吉田の小中学校時代は特に素行が悪かったわけではなかったが、子供のころから金銭欲が強く、見栄を張る虚言癖があった。弟が生まれると母の愛情は出来のいい弟に移っていき、姉の吉田は家庭から疎んじられる存在となった。父親は短気で気に入らないことがあると女房に当り散らし、母親は子供たちに稼ぎの少ない夫の愚痴をもらしていたため、子供たちは父親にはなつかなかった。1975年、吉田は私立佐賀女子高校衛生看護科に入学。一人で奨学金制度の書類をそろえて手続きをしたという。1978、妊娠詐欺で金を騙し取る事件を起こし、2ヶ月の停学処分を受ける。1979年、聖マリア看護専門学校に入学。ここで、後の共犯仲間となるA、B、Cと出会う。

 看護学校を卒業後8年ぶりにAと再会。男に騙され、弱っていたAの心に入り込んだ吉田は、政界にも顔が利き、警察をも動かせる「先生」という架空の存在をちらつかせ、自分がその「先生」とのパイプ役を担ってあたかも様々な問題を解決したかのように見せかけ、Aの金銭管理を行うだけでなく、肉体関係を結ぶことにも成功する。以後、Aは吉田と一緒に住み続け、吉田やその子供たちの身の回りの世話もすることになる。

 Aの実母の金まで手に入れた吉田は、夫の浮気に悩むB、そして職場で同僚看護婦をいじめた経験のあるCとも再会を果たし、それぞれの問題をでっちあげてはそれを解決するふりをして金銭を騙し取ることに成功。恩を売る形にしたことで彼女たちを自分の思惑通りに動かせるようになると、再び「先生」をもちだしてCの夫の殺害および保険金搾取を企てる。そして4人は医療知識を駆使して睡眠剤や空気を静脈注射することで目的を達し、保険金を得る。成功したことで行動はますますエスカレートし、続いてBの夫の命も同じ方法で奪い、保険金を得た吉田は久留米市内の高級マンションの最上階にプライベートルームを所有し、他の3人にも下の部屋を買わせ、自らを女王のごとく他の3人を従える形となった。

 吉田はAの実母の残りの預金にも目をつける。そして糖尿病を患う彼女に多量のインシュリンを投与する計画をたて、その実行犯にBを指名する。しかし計画に失敗したBは吉田からの制裁金請求などで思い悩み、伯父に相談。警察に訪れたことをきっかけに一連の事件が次第に明るみになり、4人は逮捕される。生命保険などで手にした金額はすでに2億円にのぼっていた。

 同僚看護婦から500万円を騙し取った詐欺罪(吉田・A)、Cの夫に対する殺害および保険金詐取(吉田・A・C)、Bの夫に対する殺害および保険金詐取(4人)による詐欺罪と殺人罪、Aの実母に対する強盗殺人未遂および住居侵入罪(吉田・B・C)、Bを脅したことによる脅迫罪(吉田・C)で起訴され、2010年3月、最高裁判所においてAは無期懲役、Bは懲役17年、主犯の吉田は死刑の判決が下され確定した。Cは一審の判決公判前に子宮がんで病死したため公訴は棄却された。主犯の吉田は福岡拘置所に収監され、再審請求を行っていたが、2016年3月25日に同拘置所にて吉田の死刑が執行された。戦後5人目の女性死刑囚への死刑執行であった。

 2016年3月25日死去(享年56)


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